エネルギーのデジタル化がすすむ!?ことについて

 2016年の家庭用電力市場も自由化になり、おおきなパラダイムシフトが起こりつつある電力業界/電力市場について、本を読んだり文献を調べる中で、ちょっと考えてみたり。

背景

世界的な視座で見れば、温暖化に夜海面上昇や砂漠化が進んでいく現状と未来において、電力供給のイノベーションは最重要課題になっている。砂漠化に関して言えば、年間6万平方Kmのスピードで砂漠化が進んでいる。サハラ以南の地域に暮らす人々は、暮らしは貧しく、エアコンや送水ポンプさえ手に入らないし、電気がこないとそれらをつかうことさえできない。人並みの生活さえ困難な状況。→大手電力会社は、既存インフラへのIoT導入としてスマートグリッドを志向している。でも、もっと小さいローカルの範囲でのマイクログリッドのイノベーションも必要じゃないか。

電気のインフラの部分の変化

①デジタル化

スマートメーターに各家庭の電気メーターが入れ替わる(2022年から2024年がターゲット)ことによって、電気をより細かい単位(30分)でデータを把握できるようになる。

要は電気がデジタル化されるということです。

今までの電気の流れや流れる量がデジタルデータとして把握できるようになる。

 

②集中から分散へ

今までは大きな発電所で集中的に電気を作って、そこから送電線を通って各家庭/企業に電気を供給していた。それが、 太陽光発電などの再生エネルギーによる小型中型の発電が全国各地に広がっている。その分散しているエネルギーをその場で創ってその場で消費するという分散型発電が可能になる。

分散的に発電できることによって、仮想発電所(Virthal Power Plant)が可能になる。

仮想発電所 VirtualPowerPlant:

各地に分散して存在する小規模な再エネ発電や蓄電池などの設備と、電力の需要を管理するネットワーク・システムをIOTを活用して統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させること。

VPPには以下のようなメリットがある。

1. 電力網の需給バランスを最適化できる

2. ネガワット取引が可能  消費者が自家発電によって電力消費を減らした分を発電したものとみなして、電力会社が買い取ったり市場で取引したりできる。

f:id:takezo-m-1987:20170222152355p:plain

出典: http://www.mdpi.com/1996-1073/8/3/2268

 

電気のデジタル化と分散型発電の普及などによって、電力・エネルギーのシェアという新しい考え方、文化が広まっていく。

 

 

インターネットがそうだったように、より世界は集中型から分散型に流れているように実感する。その中で人々は自由に世界中を飛び回って新たな価値を作ることができるし、今まで電気を満足に得られなかった人たちが気軽に安い電力を得ることができることによって、その人たちの生活レベルの向上が実現できるはずだし、そうすべきやと思う。それを持続可能なビジネスに仕上げていきたい。

 

③ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術の説明は割愛するとして。。。

ブロックチェーンの仕組みで、電力網のすべてのノードがP2Pで繋がりあい、互いに更新しながら電力の生産と分配を実行することができれば、マイクログリッド(小規模なエネルギーネットワーク)を作ることができる。

ニューヨークでは実際にブルックリンの一部の地域でマイクログリッドを導入する試みを始めている。

 

今現在では、でっかい電力会社がビッグボス的な立場で、送電網を通じて各家庭に電力を供給している。

もし家庭で太陽光パネルを持っていても、それで発電した電気は一度電力会社に売っている。(少ないお金やし、送電時にロスが発生する) また、買い手の方も、せっかく近所で作った電気をわざわざ電力会社を一度介して高い電気を買う必要がある。非効率やし高いしで嫌や。

いわゆる現在の電力供給は完全なるトップダウン型で、一握りの人が電力をコントロールしている状況です。それを、グリッドが自律的に電力を供給できるようになれば、そのような非効率はなくなり、便利に安く電気を供給できるようになるはず。

例えば、ニューヨークのスタートアップLO3はブロックチェーンとスマートコントラクトを利用した分散ネットワーク型のIoT電力供給に取り組んでいる。

 

ローカルの範囲で、電力供給が可能になれば、今まで長距離移動でロスしていた電力を少ないロスで済むことになるので、電気を効率的に使うことができる。

これ、災害時にも非常に便利、グリッドが自律的に電気を供給できるのであれば、もし大きな台風がきて停電になったとして、グリッドが自ら送電ルートを調整し、大規模な停電になることを防ぐことも可能。

LO3は近隣の住宅同士で電力を売買する仕組みの開発を進めているようです。

以下の記事を参照いただくと良いかも! SiementsとLO3がコラボして実験的に進めている。

btcmanager.com

 

オーストラリアのPower Leader社もパースで15から20世帯間でのP2Pでの電力の融通事業をはじめてるっぽいです。

ブロックチェーンが実現する太陽光発電のシェアリングエコノミー | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

Power Ledger -A New Decentralised Energy Marketplace - Power Ledger - Where Power meets Blockchain

Media Release - Power Ledger -A New Decentralised Energy Marketplace

 

こういった情勢と動きの中で、人々の暮らしがより良くなるようにどうすればいいかを継続的に考え、ビジネスとして結実してききたいなーと。

インフラ面以外でもコンテンツ面でもいろいろおもしろい動きがあるのですが、それもおいおい整理していきたいなと思います。

 

 

 参考図書:

 

エネルギーデジタル化の未来

エネルギーデジタル化の未来

 

 

 

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか